タイトルの記事が目に留まったので、ご参考までに。

 

「お金持ちだからではない」、頭のいい子が育つ家庭に共通する”幼児期のある習慣”という記事がありました。

 

「頭のいい子」に育てるにはどうすればいいのか。
ポイントは、子供に向けて話しかけられた『言葉の量』だという。

 

・子どもの頭の良さは「親の経済力」だけで決まるのか?

 ①低い社会的・経済的ステータスの家庭に生まれ、低SES家庭の養子になった子
 ②低SES家庭に生まれ、高SES家庭の養子になった子
 ③高SES家庭に生まれ、低SES家庭の養子になった子
 ④高SES家庭に生まれ、高SES家庭の養子になった子

 

④高SES家庭生まれ・高SES家庭育ちの子は、①低SES家庭生まれ・低SES家庭育ちの子に比べてIQが平均して27高い。
 IQは標準偏差が15になるように調整されているから、この二つのグループ間では実に標準偏差の2倍もの差があったのである。

 

・先天的要因と後天的要因がおよそ半々
 この研究で注目すべきは、②と③の結果だ。
 両者はあまり差がなく、その平均IQはちょうど①と④の中間くらいである。
 この研究からも「IQは先天的要因と後天的要因がおよそ半々」という結論が得られる。
 しかし、これは必ずしも悲観的な結果ではないかもしれない。
 なぜなら半分は育て方次第で変えられるからだ。
 では、どうして高収入家庭で育った子はI Qが高くなる傾向があるのだろうか?
 やはり、お金をかけた幼児英才教育の効果だろうか?

 家庭環境とIQの相関の少なくとも一部は間接的要因によるものらしい。
 そしてその中間要因は全くお金がかからないものだった。
 つまり、裕福でない家庭でも、その中間要因を改善すれば子供の知能にポジティブな影響を与えられる。
 では、その中間要因とはなんだろうか・・・

 

・家庭環境と子どもの知能の“意外な関係”
 家庭環境と知能発達(とりわけ言語能力)の相関の原因
 社会的・経済的状況に関わらず、対象となったすべての家庭で子は愛されていた。
 高SES家庭と低SES家庭で最も顕著な差は、親が子に話しかける「量」だったのだ。

 調査期間中、高SES家庭の親は1時間に平均して487語の発話をしたが、低SES家庭は平均して176語にとどまった。
 じつに3倍の差である。
 子が3歳になった時点で、高SES家庭の子は平均して1時間に310語の発話をしたが、低SES家庭の子は約半分の168語に。
 語彙力を測ると、前者の子は1116語、後者はやはり約半分の525語であった。

 

・子どもの知能に大きな影響を与える「三千万語の壁」
 さらに研究者は子どもが小学3年生になった時点で追加の調査を行った。
 すると3歳の時点での語彙力と、小学3年生の時点での言語能力テストのスコアの間に明確な相関が見られたのである。
 なぜ裕福な親のほうが赤ちゃんに話しかける量が圧倒的に多いか・・・
 もしかしたらコミュニケーションに長けた人ほど高収入を得やすい、などの社会的背景もあるのかもしれない。
 だが事実として、赤ちゃんが聞く言葉の量は家庭によって1時間に300語もの差がある。

 赤ちゃんがまだ喋れない頃から浴びる数千万語の言葉のシャワー。
 これこそが子どもの長期的な知能の発達に非常に重要なファクターだったのである。
 逆に幼児のうちから塾に行かせ読み書きや数え方を詰め込むような、いわゆる「英才教育」が
 長期間にわたって有益であるという確たる証拠はない。
 つまり高いお金を払う英才教育だけが意味のある幼児教育ではないのだ。
 子どもと向き合い、たくさん話しかける。
 これだけで子どもの将来にポジティブな影響を与えられる。
 誰にでもできるし、1円もかからない。

 

・テレビやYouTubeは親の代わりにはなれない
 そうはいっても現代の親は忙しいから、四六時中赤ちゃんに話しかけることなんてできないだろう。
 もし単純に「言葉のシャワー」が重要なら、子どもにテレビやYouTubeを見せておけばいい。
 あるいは、赤ちゃんの横でZoomミーティングをして会話を聞かせていればいいと思うだろう。
 しかし残念ながら、子どもの脳はそう便利にはできていないようだ。
 ある時期、聴覚障害者の親はテレビをつけっぱなしにすることが推奨されていた。
 しかしその後、それは子どもの言語能力の発達に寄与していないことが分かった。

 また別の研究では、教育番組の「セサミ・ストリート」を18カ月以下の赤ちゃんに見せたところ、
 知能発達にネガティブであることが示唆された。
 番組が有害なのではなく、親が赤ちゃんに話しかける機会が減ったというのが一つの解釈である。
 一方で、話しかける人は親ではなくてもいいようだ。
 保母さんや保育士でも同様の効果がある。

 

大事なのは、赤ちゃんの耳に入る言葉の量ではなく、生身の人間が赤ちゃんに向けて話しかけられる言葉の量なのである。

 

ちなみにテレビやゲームが子どもの発育にどう影響するかは、多くの親が気にするところだろう。
これについてもさまざまな面にスポットライトを当てた数限りない研究があるが、結果はまちまちだ。
ポジティブな効果もネガティブな効果も多数報告されている。
要は一概に益か害かと言えるものではなく「良い面もあれば悪い面もある」のだろう。

 

・「最強の幼児教育教材」は絵本の読み聞かせ
 一方、ほぼあらゆる研究で知能発達にポジティブな効果が立証されている「教材」がある。
 それはゲームよりもはるかに安く、場所を選ばず、誰にでも手に入る。
 絵本である。
 例えばこんな研究結果がある。
 41組の2歳児と母親に対し、読み聞かせを始めた年齢、読み聞かせの頻度、1週間あたり読む冊数、

 図書館を訪れる頻度などを調査し、子供の言語能力を測定した。
 その結果、読み聞かせを始めた年齢が子どもの言語能力ともっとも強く相関していることが分かった。
 さらにその効果は小学校に行く年齢まで持続することも示唆された。

 

・読み聞かせの効果をさらに高める方法もある。
 子どもに質問をしながら読むのだ。
 Yes, noや、指さしで答えられる質問ではなく、子どもが言葉を使って答えなければいけない問いが良い
 たとえば「この自動車は何色?」「ウサギさんはこれからどうすると思う?」といった質問だ。

 

・わが子にたくさん話しかけてみよう
 もちろん、このような研究が子どもの知能発達の秘密をすべて解き明かしたわけではない。
 分からないことはまだたくさんあるし、科学的に立証されていない子育て法を使ってはいけないわけでもない。
 もちろんお金をかけた英才教育もやり方次第では有益だろう。

 

 だが、確かな科学的根拠があり、誰にでもお金をかけずに実践できる教育法があるのだから、

 それを用いない手はないと思うのだ。
 まずは子守り中にテレビをみたり携帯をいじったりする時間を減らし、子どもにたくさん話しかけることから始めてはどうだろうか。
 そして寝る前にベッドで何冊かの絵本を一緒に読む習慣をつけてみよう。
 あなたのお子さんと一緒に心から楽しめる絵本に出会えたら、きっとそれは何ものにも替えがたい財産になる。